皆さんは、肉が好きですか?魚が好きですか?メイン料理と聞いて思い出されるのは、肉料理か魚料理がほとんどだと思います。肉か魚、どちらも食べない日はあまりないのではないでしょうか。
また、肉や魚のどちらが身体にいいとか、どちらが身体に悪いといった話題も諸説ありますが、本当のところはどうなのでしょうか。肉と魚の栄養にはどのような違いがあり、どのあたりが身体にいい、悪いといわれるのかを、詳しく見ていきたいと思います。
日本で食べられている肉は主に牛、豚、鶏ですが、ほかに食肉といえば、イノシシ、馬、うさぎなどもあります。どの肉も、主な栄養構成成分はタンパク質と脂質です。肉に含まれる脂質の種類は飽和脂肪酸という脂肪酸で、常温で固体の油です。豚バラ肉や牛肉のサシの部分、ラードやヘッドを想像してもらえればわかりやすいと思いますが、肉の油は常温や冷蔵下では白い塊の状態で存在します。加熱調理により、一部は液体に変化しますが約半分は加熱後も固体のままです。この脂肪酸は体内でも固まりやすい性質を持っていますので、とりすぎるといわゆる血液どろどろの状態になりやすくなり、血栓もできやすくなってしまいます。これは、肉の脂肪に飽和脂肪酸が多く含まれていることが原因なのです。この脂肪酸の種類の違いが肉と魚の栄養の大きな違いの一つです。
肉に含まれるたんぱく質は、良質のたんぱく質といって人の体では作ることのできない必須アミノ酸がバランスよく含まれています。どの種類の肉においても必須アミノ酸のバランスはとてもいいので、肉はたんぱく源として非常に優秀であるといえます。 そのほかにも、肉には貧血予防に有効な鉄分や、脂質代謝に有効なビタミンB群が豊富に含まれています。
魚も肉と同様に、主な栄養構成成分はタンパク質と脂質です。魚に含まれる脂肪の種類は肉の飽和脂肪酸とは異なり、不飽和脂肪酸です。不飽和脂肪酸にはn-3系、n-6系、αリノレン酸、リノール酸など様々な脂肪酸が含まれますが、魚に特に多く含まれる脂肪酸はn-3系の不飽和脂肪酸である、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)です。魚に多く含まれるEPAには血中のコレステロールや中性脂肪を低く保ち動脈硬化を予防する効果が期待されます。同じく魚に多く含まれるDHAは、人の脳の構成成分でもありますので、脳細胞を作るために役立ちます。脳細胞の活性化が期待できますので、認知症予防などへの効果が期待できます。
魚(特に骨ごと食べる小魚)にはカルシウムも豊富に含まれていますので、骨粗しょう症の予防や、子供においては、丈夫な骨や体を作るためにも、魚の栄養はおすすめです。
では肉?魚?体にいいのは結局はどちらなのでしょうか?
肉ばかり毎日食べると飽和脂肪酸の摂りすぎにつながり、血中のコレステロールや中性脂肪が多くなり、脂質異常症などの生活習慣病につながってしまう危険性があります。また、腸内の悪玉菌も増えてしまうので腸内環境悪化のリスクも否定できません。肉食中心の食事が大腸がんのリスクにつながるともいわれていますので、肉ばかり食べることはおすすめできません。
一方で魚ばかり食べるとどうでしょうか。皆さんもなんとなく肉の摂りすぎがよくないことはご存じだと思いますが、肉同様魚の摂りすぎにも注意が必要なのです。
特に妊娠中には制限されることがあります。魚には食物連鎖によりメチル水銀が蓄積しています。妊婦さんがメチル水銀を多量に摂ることで胎児に悪影響があることもありますので、過剰摂取は避けましょう。
肉にも魚にも良い点や悪い点があります。しかしどちらが優れているということはありませんので、まんべんなくいろいろな食品を摂ることが理想的です。